帳簿をつけることは、大切な仕事ですが、できれば事業に専念して、帳簿づけは効率的に行って時間と労力を節約したいところです。
 因みに、帳簿は、自社(店)でつけるのが基本ですが、アウトソーシング方式で会計事務所や記帳代行業者に依頼して作成してもらうやり方もあります。
 しかし、会計事務所や記帳代行業者に帳簿づけをアウトソーシングした場合でも、手書きで伝票や集計表等の資料及び金銭出納帳を作らなければならないので、残念ながら全ての手間を省略することはできません。
 そこでお勧めしたいのが、パソコン会計による「自計化」です。
 今では低価格で高機能な会計ソフトがいくつも出ていますから、パソコンを使える人なら導入しない手はありません。

1.パソコン会計をお勧めする理由

①簿記がわからなくても経理処理ができる
 手書きの帳簿では、「借方」「貸方」といった簿記特有の概念を理解していなければ、取引を仕訳することができません。
 しかし、パソコン会計では、取引を入力する画面は、「仕訳」の形式だけではなく、「帳簿入力」の形式も用意されています。
 この「帳簿入力」の形式は、「お小遣い帳」や「家計簿」などと同じ形式なので、簿記を理解していない人でも入力することができます。
 そして、ほとんどの取引は、「帳簿入力」の画面で入力することができるのです。

②転記作業をする手間が省ける
 パソコン会計では、手書き帳簿のように転記作業の必要がありません。
 例えば、現金売上が発生した場合、現金出納帳に収入金額を記入し、売上帳にも同じ金額を記入するといった作業が必要ですが、パソコン会計なら、現金出納帳の画面に入力すると、瞬時にパソコン内の総勘定元帳の売上帳に自動転記を行ってくれます。
 また、間違って入力していた場合など、確認したい勘定科目の元帳を、すぐにパソコンの画面上に表示できますので、修正作業も簡単です。

③直近の損益や財産の状況を確認できる
 パソコン会計では、一日の取引の入力が終わるとすぐに「損益」や「財産や債務」の状況を試算表で確認することができます。
 手書きの帳簿のように、元帳を集計して締めてから試算表に転記するまで確認することができないということは、パソコン会計ではありません。
 また、アウトソーシングのように、会計事務所から試算表が届くまで確認することができないということもありません。

④必要な帳票がすぐに印刷できる
 パソコン会計のメニューには、たくさんの帳票類が用意されています。
 振替伝票、現金出納帳、預金出納帳、総勘定元帳はもちろんのこと、会計ソフトによっては対前年比較表、月次損益推移表、経営分析表まで、必要な帳票をすぐに印刷することができます。

⑤会計データを表計算ソフトで利用できる
 パソコン会計のデータは、「エクセル」などの表計算ソフトでも利用することができます。
 自社(店)独自の集計表を作るときも、データを加工して使えば、科目名や金額などを入力しなくてもよいため、短時間で作ることができます。
 手書き帳簿やアウトソーシングの場合には、それぞれの書類をひっくり返して必要な部分を調べ出して、それから手作業で表計算に一つ一つデータを入力しなければなりません。

2.パソコン会計の活用によるメリット

①税理士事務所等に記帳代行を依頼している場合、前月の帳簿が手元に届くまでの間、タイムラグが発生しますが、自計化していれば、帳簿等の会計資料は自社(店)にあるので、直ちに知りたい情報が得られます。
 なお、記帳代行を依頼している場合でも、手書きで伝票や集計表等の資料及び金銭出納帳を作らなければならないので、全ての手間を省略することはできません。

②税理士事務所等に支払っていた記帳代行料金が浮きますので、経費の削減にもつながります。
 また、記帳代行用に手書きで伝票や集計表等の入力資料及び金銭出納帳を作成する時間があれば、パソコンへの入力作業は済んでしまいますので、時間の節約にもなります。

③自計化によって、月次決算(月末に帳簿を締め切り、1カ月間の決算書である「月次試算表」を作成すること)ができるようになりるので、自社(自店)の経営状況を迅速かつ正確に把握できるようになります。
 したがって、的確な経営判断が行えるようになることが、最大のメリットであるといえます。