経費になるかならないのかの判断基準

 経費(法人税法では「損金」)になるかならないかの判断基準は、「売上につながる(事業との関連性がある)費用であるかどうか」ということです。
 経費として計上する金額があまりに大きい場合は、「費用でないものを費用として計上していないかどうか」を確認するために、税務調査が入ることもあります。
 もしも、税務調査が入った場合は、「売上との結び付き」を明らかにできる証拠を揃えた上で、税務署員にきちんと説明できるかどうかがポイントになります。

経費にならないもの

 経費にならないものについては、以下のような支出が経費にならないものに分類されます。

①事業との関連性がない費用
 経費になるものが「売上につながる(事業との関連性がある)費用」であるなら、経費にならないものは「売上につながらない(事業との関連性がない)費用」であるといえます。

②法人税・法人住民税
 法人税(地方法人税)及び法人住民税(法人県民税・法人市町民税)などは経費として計上できません。

③罰金、科料及び過料など
 法律違反などをした結果、罰金、科料及び過料などの財産刑に処せられた際の支払いは経費に含めることはできません。ただし、業務上の駐車違反の場合は、レッカー代、駐車料金は経費になります。

④借入金の元金
 金融機関からの借入金の元金、住宅ローンの元金(個人事業者の場合)は経費にすることはできません。借入金の支払利息、業務として使用している部分の住宅ローンの支払利息は経費になります。

⑤敷金・保証金
 敷金(退去時に戻ってくるもの)や保証金は、費用(経費)ではなく、資産として処理します。

個人事業者の経費一覧表

項目 具体例
租税公課 ①税込経理方式による消費税等納付額、事業税、固定資産税、自動車税、不動産取得税、登録免許税、印紙税などの税金、②商工会議所、商工会、協同組合、同業者組合、商店会などの会費や組合費(注1)
荷造運賃 商品などの発送のために要した包装材料など荷造りのための費用や運賃(注2)
水道光熱費 事業用に使用した水道料、電気代、ガス代、灯油などの購入費
旅費交通費 仕入や販売のために要した交通費(電車賃、バス代、タクシー代など)や宿泊代など
通信費 事業用の電話料、切手代、電報料など
広告宣伝費 ①新聞、雑誌、ラジオ、テレビなどの広告費用、チラシ、折込み広告の費用、②広告用名入りライター、カレンダー、うちわなどの費用、③ショーウインドーの陳列装飾のための費用
接待交際費 事業に必要な茶菓子代、飲食費、贈答費用など(注3)
損害保険料 棚卸資産や事業用の資産に対する掛け捨ての火災保険料、事業用の自動車の損害保険料など
修繕費 事業用の建物(店舗・工場・事務所など)、自動車、機械、器具備品などを修理した場合の維持補修費用など(注4)
消耗品費 ①帳簿、文房具、用紙、包装紙、ガソリンなどの消耗品購入費、②使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の什器備品の購入費(注5)
減価償却費 建物、機械、船舶、車両、器具備品などについて所定の方法によって計算した金額(注6)
福利厚生費 ①従業員の慰安、医療、衛生、保険などのために事業主が支出した費用、②事業主が負担すべき従業員の健康保険、厚生年金、雇用保険などの保険料や掛金
給料賃金 従業員に対する給料、賃金、退職金及び現物支給した食事や被服など
外注工賃 原材料などを支給して加工させた場合に支払う工賃(注7)
利子割引料 事業用資金の借入金の利子や受取手形の割引料など
地代家賃 店舗、工場、倉庫等の敷地の地代や店舗、工場、倉庫等を借りている場合の家賃など
貸倒金 売掛金、受取手形、貸付金などについて回収不能となったもの(貸倒損失)。
繰延資産の償却費 開業費や開発費、共同的施設の負担金や建物を賃借するための権利金などの償却費
固定資産等の損失 事業用固定資産や繰延資産の施設の取壊しや災害による滅失などの場合の損失
雑費 事業上の費用で他の経費に当てはまらない経費

(注1)所得税・復興特別所得税、相続税、住民税、国民健康保険税、国民年金の保険料、国税の延滞税・加算税、地方税の延滞金・加算金、罰金、科料、過料、交通反則金などは必要経費になりません。
(注2)仕入や資産の購入に要した引取運賃は、仕入金額やその資産の取得価額になります。
(注3)相手方や支出の理由などからみて、事業を営む上で通常必要と認められる金額が必要経費になります。
(注4)資産の価額を増したり、使用可能期間を延長したりするような支出は、そのまま必要経費になるのではなく、原則として、資本的支出として一の減価償却資産を取得したものとみなして、その資本的支出額の本年中の使用月数に対応する減価償却費を必要経費にします。
(注5)取得価額が10万円未満であるかどうかは、税込経理方式又は税抜経理方式に応じ、その適用している方式により算定した金額によります。
(注6)取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、減価償却をしないで、その使用した年以後3年間の各年分において、その減価償却資産の全部又は特定の一部を一括し、一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1の金額を必要経費にすることができます。
(注7)建設業を営んでいる人などの外注費も含まれます。