消費税の課税事業者となる法人(株式会社等)及び個人事業者の方は、帳簿への記帳を行う際、消費税に関する事項も併せて記帳する必要があります。
 消費税の課税事業者となる方の記帳方法は、税込経理方式と税抜経理方式のいずれの方式を選択するか、簡易課税制度を選択するか否かでそれぞれ異なりますので注意が必要です。

一般課税の計算方法

 消費税は、課税売上に係る消費税額から、課税仕入等に係る消費税額を控除して計算します。
 具体的には、売上高、仕入高、経費を種別・科目ごとに分け、課税期間中の売上高に係る消費税額から、課税期間中の仕入高・経費に係る消費税額を差し引いた納税額を申告します。

計算式:課税売上に係る消費税額-課税仕入等に係る消費税額=消費税額

一般課税の記帳方法

 消費税額を正しく計算するためには、日常の取引を記帳するときに、その取引が課税取引なのか非課税取引なのか、あるいは不課税取引(課税対象外取引)なのかを区分して記録しておく必要があります。

 実際の記帳の際には、帳簿の摘要欄などに(課)・(非)・(不)又は○・×・△と記載するような工夫をし、科目ごとの集計において、全体合計、うち非課税・不課税の合計とに集計します。

 なお、消費税対応の会計ソフトで記帳する場合は、仕訳の入力時に課税か非課税等かを選択するだけで、売上高、仕入高、経費に係る消費税額の集計が自動ででき、納付税額の計算を行うこともできます。また、制度に対応した帳簿も作成することができます。

※消費税は、帳簿や請求書等をもとに課税売上や課税仕入等の金額を把握して、納める消費税額を計算する仕組みになっています。帳簿は法令で定められている記載事項を記録し、請求書等とともに一定期間(原則として7年間)保存する必要があります。帳簿と請求書等の両方が保存されていない場合や摘要欄等に法令で定められた内容が記載されていないと、一般課税による仕入税額控除ができませんので注意が必要です。

簡易課税の計算方法

 簡易課税制度とは、その課税期間における課税標準額に対する消費税額を基として、仕入控除税額を計算する制度をいいます。
 具体的には、その課税期間における課税標準額に対する消費税額に、みなし仕入率(第一種事業:90%、第二種事業:80%、第三種事業:70%、第四種事業:60%、第五種事業:50%、第六種事業:40%)を乗じて計算した金額が仕入控除税額とみなされる制度です。
 したがって、実際の課税仕入れ等に係る消費税額を計算する必要はなく、課税売上高のみから納付する消費税額を算出することができます。

計算式:課税売上に係る消費税額-(課税売上に係る消費税額×みなし仕入率)=消費税額

簡易課税の記帳方法

 第一種事業から第六種事業までのうち1種類の事業だけを営む事業者の場合、収入(売上等)に係る取引ついて、課税取引、非課税取引、不課税取引のいずれかに区分するだけですが、2種類以上の事業を営む事業者は、売上等の取引がどの事業区分に該当するかを記帳しておく必要があります。
 実際の記帳の際には、帳簿の摘要欄等に第一種事業を「1」、第二種事業を「2」、第三種事業を「3」、第四種事業を「4」、第五種事業を「5」、第六種事業を「6」などと記載するような工夫をするとよいでしょう。

 例えば、手書きの帳簿の場合、課税取引の収入を計上するとき(例:一般消費者に商品を販売したとき)は、帳簿の摘要欄等に「2」と補完記入するなどして、事業区分ごとに売上高の年間合計金額を集計できるようにしておく必要があります。

 なお、消費税対応の会計ソフトで記帳する場合は、仕訳の入力時に該当する事業区分を選択するだけで、事業区分ごとに売上高の集計が自動ででき、納付税額の計算を行うこともできます。また、制度に対応した帳簿も作成することができます。